日筮検証:【地山謙】二爻【地風升】
どうも、平尾です。
盆暮れ正月お彼岸になると、母方の実家でいなり寿司を作ってくれ、我が家の仏壇を参りがてらわざわざもってきてくださるのです。
昨夜それを少しいただき、残りはお昼にいただこうと、今日はディストピア飯を作りませんでした。
【地風升(ちふうしょう)】は戻れない
朝の記事で、【地風升】は種から芽が出て大木に育つ卦だと書きました。
非常にダイナミックかつ縁起のよい卦で、『どんどん前へ進んでいく』『グングン上昇していく』という意味をもつ、基本的には大吉卦です。
が、易というのは往々にして「そうは言っても裏を返せば……」みたいな話になることが多く、この【地風升】も例外ではありません。
大木に育った木が若木や苗に戻れないように、【地風升】には『元に戻れない』『引き返せない』という意味もあります。
「今日のお昼はいなりさんだー!」
てな具合で意気揚々と出発。
途中、24時間スーパーでちょっとしたお惣菜でも買おうかしら、なんて気分よく車を運転していて、ふと気づきます。
いなり寿司忘れとるやん!!
思い出したときには後の祭り。
まさに『引き返せない』状態でした。
昨日、之卦(しか=変化の先)は伏卦(ふっか=隠された意味)とも読める、という話をしましたが、今日も朝からひょっこり顔を出してきたわけです。
途中、スーパーで惣菜でも買おうと少し早めに出発していたおかげで、弁当を買うことができたのは不幸中の幸いでした。
君が【地山謙(ちざんけん)】するんかい
職場の生産ラインには、異物混入を防ぐための金属探知機があります。
すべての商品がそこを通り、異物が入っているとベルトコンベアの一部がガクンと下へ傾き、不適格品として排除されるという仕組みです。
また、工場全体に圧縮空気を送り込む細いパイプが張り巡らされており、様々な機械の挙動を制御しています。
元を辿ると、1台の大きなコンプレッサーに繋がっています。
――バシュンッ!
工場内に突如鳴り響く破裂音。
――プシュー!
そして勢いよく空気が漏れる音。
これはまずい! と思い、自分とこのラインを止めて生産ラインへ駆けつけます。
先述した不適格品を排除するコンベアですが、圧縮空気で水平を保ち、異物混入を探知すると空気を抜いて下へ傾く、という仕組み。
なので、空気圧が下がるとコンベアも下がり、すべての商品が排除されてしまうのです。
生産ラインへ着くと、案の定コンベアの一部が斜めにガクンと下がったままの状態。
商品がどんどん排除されていき、パートさん社員さんみなさん大慌て。
短いコンベアの片側が下がり、斜めに傾いている姿はまるで頭を垂れるように見え、
「いや君が【地山謙】してどないすんねん!」
と心の中でツッコミながら、手でグイッと持ち上げます。
生産ラインは急に止まりませんし、止めて再開するのも大変ですから、空気の漏れを直す方が早い。
しばらくすると「プシュー」と鳴り響いていた音がやみ、コンベアは空気圧で正しい位置へ。
ほっとひと安心と手を離して数秒後
――バシュンッ! プシュー!!
またも空気が漏れます。
「せやから【地山謙】すな!」と思いながら、ふたたびコンベアを持ち上げました。
これが地味に重い。
体感で10kgとはいかなくとも、5~6kgはありそうです。
そこまで重いというほどではないにせよ、長時間支えるとなるとなかなかしんどいのです。
商品が通るコンベアを地面と見るなら、それを支える俺はさしずめ【山】か……。
まさかこの工場内に鳴り響く空気漏れの音を『鳴謙(めいけん)』とはいうまいな…!
なんてことをぼんやり考えている内に、今度こそ空気漏れは解消。
無事いつもの作業に戻れたのでした。
ちなみに排除された商品も、再度金属探知機を通せば適格品として出荷できますぞ。
それ以降はトラブルらしいトラブルはなく、ほどよい忙しさのなか、仕事を終えられたのでした。
あと、お稲荷さんは夜においしくいただきましたよ。
ではまた明日!


